うそつきあくま
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うそつきあくま

雁須磨子

何エンド?

ネタバレ
2021年8月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ あーすごい作品でした。受けの余利に共感できず、どうしたもんかなーと迷いながら読み進めていたのですが、下巻の宇郷が描けなくなってから完結までの流れで、自分の中のどろりとした部分を一気につかみ出された気がしてグッと引き込まれました。突然の別れから四年たち、それなりに苦しんだろうけど余利は仕事も順調で、宇郷のように自分のファンだった後輩漫画家の星とのカラダの関係を持っていることを示唆して読み手をギョッとさせてからの宇郷の再登場にぞわーっと来ました。星とはやめて欲しかったなというのが正直なところですが、余利のようなタイプには宇郷ではなく昔の自分の様な年下ワンコの星と生きる方が幸せだった気もします。でも作者は余利に宇郷を選ばせる。心の欲するところはままならない。それは宇郷にも言えることなのかな。ヨリが戻ったとはいえ、ハッピーエンドともバッドエンドとも感じられない物語の終わり方。でも現実ってそんなことの繰り返しで、だからこそ、私はハッピーエンドな作品をつい欲しちゃうんだなって再認識しました。でもこういう作品も時折り読みたくなる。出会えてよかったです。
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