狐のよすが
」のレビュー

狐のよすが

ミナヅキアキラ

二人の絆の深さに感動です。

ネタバレ
2021年8月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家様です。読みたい新刊が目白押しで、こちらの作品もその一つです。種族の違う愛情物語に、夢中になって読みました。
森の中で、親からはぐれた鳥の子供を拾って、非常食として持ち帰った狐の九重。食べ時を見計らって、餌付けしていく内に情がわいてしまうのも、無理からぬ事ですよね。だって、あんなに可愛いピー助だもの(名付けてもらう前の仮名)。自分の餌に名前つけないですよね。親になる覚悟で、自分の事を縁(よすが)に生きろと言う九重ですが、それは九重にとっても同じように言える事なんだと思います。森の中では、仲間が全滅して孤独な九重には、よすがが唯一の支え。それがいつしか、親子の愛情が、違う感情に変わって行ったとしても不思議じゃない気がします。あまりにも健気なよすがが、愛おしく思えるのも自然な流れですねぇ。種族が違えども、種を残そうとする本能にそれたとしても、愛さずにはいられない。そういう愛があってもいいんじゃないかと。たとえ子供をなせなくても、家族にはなれるんです。互いに絆で結ばれていれば、それで幸せなんだと思います。二人の契りは幸せの瞬間だったのではないでしょうか。
よすがの幸せを考えて、縄張りである森を捨て去ろうとした九重に涙です。どれだけの深い愛を持っているのでしょう…健やかに長く生きるようにと名付けられた九重という名前なら、愛する者の為に生きながらえて欲しいと願います。もう、独りじゃありませんね。違う種族であっても、リスや狸の仲間もいるし、森で生き抜くには寂しくなんてないと思います。二人仲良くいつまでも…
とっても素敵な物語でした!

フォロー様のレビューで紹介された『おまえうまそうだな』が印象的で、確かにそれが道理だと思います。フォロー様のレビューには、優しさがあり、またズバッと核心を突くご意見があって、気づかされる事があります。良いお話を紹介して下さってありがとうございました。
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