叶わぬ恋の結び方
」のレビュー

叶わぬ恋の結び方

吉尾アキラ

臆病と一途、赤い糸が繋がっていなくても

ネタバレ
2021年9月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 赤い糸の執行猶予で、繁司さんの背中を押した、赤い糸を切れる力を持った薫くんのスピンオフ。執行猶予も良かったですが、あちらが薫くんの物語の序章だった、と言っていいくらい素敵な作品です。
縁を切る事を生業にしているを薫くんは、赤い糸が見えるが故に、翻弄されてました。見えなければただの失恋、見えるから運命の力を感じてしまう虚しさ。自分には、赤い糸は決して結ばれないから、なおの事。諦めていた薫くんが出会ったのが、年上のお客さん、原さん。
原さんはまだ赤い糸が繋がってない、自分を好きだと真っ直ぐに愛情を向けてくれる。身体から始まっても、薫くんもすぐに惹かれてしまいます。けれど、いつか、原さんの赤い糸が誰かと繋がった時に、捨てられてしまうのが怖くて仕方ない。好きなのに、原さんに飛び込む事が出来ずに、苦しむ薫くんが切ないです。何度か好きな人を、赤い糸に持って行かれた経験が、とても臆病にさせてます。でもそれは、どれだけ原さんが好きかの裏返しなので。一途な原さんが、薫くんを好きになってくれて、良かったなぁと思います。作者さん初の年上攻だそうですが、ワンコ臭もさせつつ大人の色気や包容力もあって、素敵な攻さんです。
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