いつか友達じゃなくなるとしても
」のレビュー

いつか友達じゃなくなるとしても

カサイウカ

涙が次々と溢れて止まりません。

ネタバレ
2021年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ カサイウカ先生の9年前の初コミックスです。デビュー作品からもう既に、こんなに心を揺さぶる作品を手掛けていらっしゃったのですねぇ…感嘆のため息が漏れてしまいます。

事故で幼馴染みの柊平の左目を失わせてしまったトモ。ずっと、その罪悪感に苛まれて辛い中、恋心を持ってしまった事で尚更辛いんです。さらには、柊平の大家族全員が、誰も攻めずに温かく迎えてくれるのが、嬉しい反面きっとその優しさが辛い気がします。アクシデントとはいえ、柊平の失くしたものは大きな代償で、悔やんでも悔やみきれないし、その家族の輪に入るのはいたたまれない。何事もなかったように、昔のまま接してくれる柊平も、家族みんなも本当に優しくて温かい。もうそれだけで胸がぎゅっと締め付けられそうです。
でも、それ以上に離れたくないトモの恋心。ワケあり家庭でひとり暮らしのトモを引き取りたい兄を押しきってまで、側にいたいと思うトモの必死な想いがまた胸を刺すんです。想いが叶わなくとも、側にいられたら…もぉ、泣くしかない私。兄は兄なりにたった一人の弟を守りたいと思うし、強引な面は弟の幸せしか考えてないんだと思いました。不器用な兄弟愛にもまた胸打たれます。柊平の家族は、トモを本当の家族のように思ってくれているし、家族の温かさ、兄弟の絆も丁寧に描かれていて優しさ溢れる内容に感慨深いです。
昔からトモを大事に思う柊平が、トモの気持ちに気づいてからは、それが同じ気持ちとわかるまでの展開もたまりません。柊平が男前でしたぁ。
誰もが心に優しさと愛情しか持ってない。
たまらなく切なくて、たまらなく温かくて、愛が溢れる作品です。タイトルが素晴らしい。書き下ろしも幸せ気分になりました。どこまでも優しさは続きます。
カサイ作品が気になる方は、是非こちらを読んで頂きたいと思います!

紙だとうっかり忘れがちなカバー下も是非!4コマ漫画のタイトルも、漫画も楽しいです。
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