このレビューはネタバレを含みます▼
素晴らしいと思いました…。
ヤクザ社会の描写もさることながら、登場人物一人一人の背景が見えて、それぞれの人生が交差する様子など、とても惹き込まれました。人の心ってなんだろうって、ジャンルを超えて人生観考えさせられます。八代さんの空洞のようになってしまった心を、癒す事はとっても難しい事だけど、でも誰かに包まれるような愛を知って欲しい。彼のような人生を歩んできた人に今更、幸せになって欲しいと言うのは綺麗事すぎるかもしれないけど、自分を偽り続けて生きて欲しくない…。分かります。自分の人生がああなってしまったことを、他の誰かのせいにしてしまったら、八代さんは壊れてしまう。でも誰かに愛され、また自分も誰かを愛してしまえば、否応なしに自分の人生が跳ね返って見えてくる。自分の人生を否定しなければいけなくなってしまう。本当は望んでそうなった訳では無い事を肯定してしまえば、今の自分を全否定しなければいけない。自分を可哀想だと思ってしまったら、惨めになってしまう。読んでいて辛くなりました。彼を保っているのは、望んでこうなったという今の自分への肯定なのに、百目鬼と出会った事で、根本的にそこが揺らいでしまう。それがどうしようもなく怖かったのかもしれません。私にはそんな風に見えました。この先、2人がそれらとどう対峙していくのか。良い結末になる事を願っています。
良い作品をありがとうございます。
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