このレビューはネタバレを含みます▼
書店店長 大宮雄介(33才)×大学生 北澤眞人(19才)。住んでいるアパートから近いことが理由で応募した書店バイトの面接で出会ったのは5年前に痴漢をネタにさんざん振り回した男。何食わぬ顔で対応する大宮に切なくなった北澤は会えて嬉しかったと告げます。レビューを読んで軽いお話かなと思っていましたが、木原先生初心者の私には結構重かったです。大宮が5年前も現在も振り回される役で、現在は北澤より2年間つきあっている浮気者の彼氏(千博)に束縛されてなのですが、すごく追い詰められる感じが辛くて。大宮が千博の元カレの高野に苦しい胸の内を語る場面は泣けました。普通はこんなに振り回されてくれないと思うのです。それは弱さにも思えるけれども優しさなのだと思います。だから北澤もそんな大宮を信じることができたのだと。木原先生の書かれる受けって最終的にすごく受容するタイプになるように思います。揺るがなくなるというか、まだそんなに読んでいない初心者ですが。2002年2月初版の作品に商業誌未収録のdessert boxと後日談ショートdessert box plusを加えて新装版として出版された今作、読後感はとてもよかったです。追加されたところが本当にいいです。何と引き換えにしても欲しいって、そんな愛もう応援するしかないし、浸るしかない。最高です。
2010年12月 挿し絵あり。