このレビューはネタバレを含みます▼
無料公開されていたのをきっかけにハマり、一気に8巻まで読んでしまいました。もう、何故これまでスルーしてたのか本当にワカラナイ。
強引に結ばれてしまう展開や攻の深すぎる闇が苦手で、正直に言うと最初のほうはあまり好みではなかったのですが(すみません)、荒削りながらも勢いのある作品の力に惹き込まれてどんどんハマっていった感じです。芸能界を舞台にした作品ならではの“表現”にまつわるセリフ、たとえば最新8巻の「ない引き出しひたすら全開って感じだな」。刺さる。
受の高人さんが美しくてえろくて可愛いのに漢気たっぷりなのがすごくよい。6巻のスペイン編は特に秀逸だと思います。突如現れたライバルの前で、まだ掴めてないフラメンコをそれでも一所懸命踊る描写は一瞬だけどちゃんと「まだまだ」なのが伝わってくる。作品を通してまだ見ぬスペインの太陽を浴びたような読後感。チュン太の祖父セレスさんのどこか昏いラテンキャラもすごく魅力的です。
芸能ものということで、彼らが出る舞台やドラマの内容も深く考えないといけない……その苦労は計り知れません。けど、細かいキャラデザや設定をすごく拘って作られているから、それが確かに「視える」からこそ、こんなに夢中になれるんだろうな。ああ、今すごく舞台が観たい。生の芸術に飢えて渇いているのがわかる。
私にとって不幸なのは、この壮大な物語に出会ったタイミングが「新刊が出たばかり」だったということ。早く続きが読みたくてギリギリしながら、アンソロの『性格悪い受がぐずぐずに泣かされる本』まで買ってしまいました(ネコになっちゃう高人さんが、にゃんにゃん鳴かされるトーニャカがヤバすぎて!高い買い物だったけど後悔はありません!!)笑