このレビューはネタバレを含みます▼
久々にキターって感じです。木原作品の痛々しさ。読みながら心臓がバクバクして突き刺さって目が離せなくなる。。この感じは凄いです。木原作品で出てくる人物はとんでもなくクソで救いがたい自己中心的な奴が神がかり的に登場してきます。私は、木原先生の作品を多く読んできていますが、この作品は上位になるくらいだと思いますので、木原初心者の方は、かなりハードルが高いです。今はやりのBLではありません。読み始めたら最後、どんなに痛くても目が外せませんが、読み終わった後の虚脱感。半端ないです。主人公の一人、西崎は、超が付くくらいクソで頭が悪い。物事を正しく判断することもできず、すべて自分に都合のよい解釈で、攻めである長野を傷つけ、母親、兄をも言葉態度で追い詰め死に至らせます。少し反省はするのだけれど、でも自分の行った態度はその相手がもそも悪いんだと常に相手の責任に擦り付けていく性格でした。この話は、大きく2部に別れていて、前半は主人公たちが高校時代、後半は20代から30歳にかけて。一見西崎は救いがたい男ですが、攻めの長野は、西崎にかなり翻弄されて被害者のような感じにもとれますが、私個人的に言わせてもらうと、無知で嘘つき悪態の限りをつかれても、何度も手ひどい目にあっていても、西崎から離れられない、恋愛は、どっちもどっちなので、「長野強くなれ!」と応援したくなります。紙の本のあとがきでは、二人の行く末をほのめかす言葉があるとのことですが、ラストシーンのように、決定的なバッドエンドになっているのですが、腐れ縁のように又。。となるのではないかと思います。。。それからの2人、見つけました。同人誌で「RICKY」1~3巻のどこかです。幸せな二人を見つけられて私のこの物語は終わりました。作家様に感謝です。そこまでくるにはかなり山あり谷ありだったでしょう。胸のつかえがとれました。