このレビューはネタバレを含みます▼
役者志望でモデルのショータに、ついに念願のドラマの仕事がきます。相手役がクスリで謹慎中の人気バンドの渋川健志な為、事務所は渋りますが、健志のファンであるショータは大喜びで読み合わせに向います。ところが当の健志はまるでやる気がないのでした。たまりかねて泣きながら訴えるショータに心動かされたのか、健志はショータを自宅に招き、一緒に読み合わせをします。そこから二人に好意が芽生えます。
健志には双子の兄•敦志がいたのですが、健志のライブに向かう途中にバイク事故で亡くなっていました。直前に早く来いと敦志にメールしていた健志は、自責の念と贖罪から敦志の恋人だった今のマネージャー城下と身体の関係を持つようになります。そんな健志はショータの愛を素直に受け入れることができません。恋人である敦志を失った城下もまた、健志から離れることができないでいるのでした。
駆け出しの俳優と訳ありミュージシャンの恋に、亡くなった双子の兄とその恋人が絡んでくるという陰の濃いストーリーなのですが、それだけに「難しいことの方が楽しい」というポジティブなサブテーマがくっきりと浮かび上がってきます。各章にタイトルが付いていてストーリーとタイトルJITTER BUGとを結びます。最後の別れ難い恋人たちの映画のようなコマ割りからエンドロールを思わせるクレジットまでがとってもお洒落で、物語の世界観をより一層際立たせていてカッコ良かったです。