このレビューはネタバレを含みます▼
シンプルなストーリーで緩急もそれほどないのですが、ジャズバーの喧騒やピアノの音色が直に伝わってくる臨場感に心躍る作品。
全体を通して30代の史也が仕事にも恋愛にも手を抜かず誠実に向き合う様子が丁寧に描かれています。20代と30代の仕事観・恋愛観って微妙に変化してくるもの、その辺りの心境の変化が身に覚えのあるものだったので感情移入しやすかったです。
終始史也目線でお話が進むので、多忙なピアノマン泰介の出番は割と少なめ。でも、だからこそ数少ない2人の会話が妙に印象に残り、また会話ごとに2人の距離が近づいていくのところにドキドキします。もどかしい感じもありますが、これぞ大人の恋愛!という落ち着いた展開が心地いい。
作中にあった「正しい努力」というセリフが凄く好きでした。励まされ慰められるんだけど戒めにもなって、今も心に響いています。