小説花丸 狼憑きの身代わり若様
」のレビュー

小説花丸 狼憑きの身代わり若様

雨月夜道/小椋ムク

ヤバい、ハマったかも

2021年10月7日
不遇な百姓の玄と訳あって人狼になってしまった空耶のお話。玄の境遇は悲惨ですが、空耶の生い立ちはさらに上をいく凄まじさがありました。誰からも必要とされてこなかった2人ですが、だからこそお互いの心に寄り添い分かり合えるところに胸が熱くなります。また、そんな2人だからこそ自分以上に相手を思い遣る様が優しさに溢れていて涙が込み上げてきました。家臣(須賀山)の若様に寄せる並々ならぬ想いにも胸を打たれ、各々の深い想いが交差して感動すら覚えます。悪政を敷く領主を打ち倒す話がベースになりますが、とにかく登場人物の心理描写がとてもお上手で感じ入ってしまいました。
ラストに少しご都合主義な展開はあるもののお話の面白さは抜群で、読後はすっかり魅了されていました。お話は巻を追うごとに面白くなっていきます。イラストは表紙のみ。
いいねしたユーザ9人
レビューをシェアしよう!