このレビューはネタバレを含みます▼
雪の降る12月24日の夜、山田は、酔っ払って道端で寝ていた高校生•千尋を拾います。親友に告白すること無く失恋したという千尋は、それから山田を訪ねて来るようになり、気になる人に渡すバレンタインチョコを作りに来たいと言います。千尋のちょっとした時に見せる仕草や眼差し、ふんわりとバラの花のように色づく耳たぶを見るにつけ、もしかして自分に恋をしているのでは?と山田は気になります。DKに恋をされる、傷つけたくない、ノンケの山田は悩みますが、千尋は作ったチョコを山田に手渡すことなく帰ってゆきます。
その後、たまたま仕事で千紘の学校に出向いた山田は、級友と笑って過ごす、ごく普通の高校生らしい千尋の姿を見かけます。山田は自分の知る千尋の涙やバラの花を思い、本音を隠すその姿を切なく、そして千尋自身を愛しく想うのでした。
26歳で見た目はばっとしないおじさんだけど、なんともあったかい山田と、母子家庭で幼い弟妹の兄として頑張る高校3年生の千尋とがゆっくりと心を通わせていくハートウォーミングなお話です。番外編『ばらのアーチをくぐってきてね』では、千尋が高校在学中のエピソード、さらに卒業後の二人の姿を楽しめますので、併せてどうぞ。