このレビューはネタバレを含みます▼
BL歴浅いですが、感謝を込めてレビューさせていただきます。
無表情でどこか人形のような冷たさを感じさせる攻めさん(忍)。あらゆることに投げやりだからこそ、どんな酷いことも淡々と容赦なくできるし、好きでもない相手も抱ける。行為はサディステックなのに、言動の端々に優しさが垣間見えるのがずるい。
そんな彼に抱いてと命令するのは、うぶで世間知らずで気の小さい受けくん(水葵)。家庭での抑圧と学校での孤立から逃れようと、背徳的な行為に逃避を求めてもがく切なさ…そんな彼の成長が見所です。
力関係では、弱みを握った水葵のほうが強いはず。けれども彼が望んだのは忍による加虐という、この歪な支配/被支配構造が、なんとも良い効果を生んでいるのではないかと思います。