火曜、25時の恋人
」のレビュー

火曜、25時の恋人

朔ヒロ

「悪い大人」になりたい「いい子」

ネタバレ
2021年10月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●これまで作者さんのファンタジー風味の作品を読んできましたが、それらに比べるとあと少し…という感じでした。(同時収録の短編はもう一段階普通。)こちらが初連載とのことですし、舞台が日常なので、他作品と比べるものではないのかもしれませんが。
●「死んだ三角の叔父」がキーパーソンではあるものの、多く描写されないのでその心理などは分かりません。多感な学生時代の三角から見ると「悪い大人」で、好きの対象。でも「いい子」でいないといけないから気持ちは隠して叔父を避け、そのまま死別。「いい子」であろうとしたばかりに好きな人に想いを伝えることができず、その後悔から三角が叔父をなぞるように「悪い大人」になろうとするのは分かる気がします。座間には三角が意識的にそうしているのが分かるから、弟と重なる三角を放っておけないのでしょうね。そして何にも臆することなく三角に好意と欲望を向ける鳥井は、三角のできなかったことを体現している眩しい存在で、羨ましくも惹かれずにはいられなかったのでしょう。
●鳥井はとにかく真っ直ぐで、三角の「いい子」の部分も「悪い大人」の部分もまとめて包み込んで好きでいてくれるので、三角はきっと救われたと思います。ゆるっとした優しいストーリーでした。えっちは意外に多いです。
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