触らないで、抱きしめて
」のレビュー

触らないで、抱きしめて

一生懸命な恋愛していますね。

ネタバレ
2021年10月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大学のサークルの飲み会で知り合った梅谷と潔癖症?と噂されていた鷲園。
出会いの印象はあまりにもよくなかったけど、梅谷が実は強迫性障害と診断されている鷲園の事を気になり始め、次第に彼の人柄に牽かれていき、好きだと告げて鷲園は最初困り果てていたのにいつの間にか鷲園も梅谷の裏表のない人柄に牽かれ付き合うことになって。
鷲園のトラウマになっていたのは思春期の時に好きになっていた友人がいきなり次の日に転校していき離されてしまったことに始まる。母が息子を心配して引き離したみたいで、それに気がついた鷲園が母によってカウンセリングに無理やり連れていかれて、それ以来自分が触れてしまったものが汚くなると思うようになっていたことで、これが強迫性障害の一因に。
それにずっと悩まされていたのに、梅谷によってそれが軽減されて人を好きになることがどれだけ嬉しいことなのかを知り、梅谷によって救われた自分が恋愛してもいいんだと思うように。
きっといつか自分が変われると信じていても、母と会うことで当時の気持ち等がまざまざと表れ自分を圧迫して苦しめる。
でも変わりたいと思って、母と対峙して自分の苦しめたことと漸く決別することができ、母が変わりはじめて理解してくれるように。
母も昔真澄が4才の頃に変質者に連れていかれそうになっていた所を必死になって助けていたことから、真澄が大事な子であるには変わりなかったんだと父から知らされて、母の苦しめていた出来事という背景をわかって欲しいという。
父親が母をちゃんと説得するからといい、父に謝られたことで少しずつ前向きになっていき、いきいきと生活していけるようになって、ある日梅谷と漸く身体を重ねるという行為をして、それが次へのステップになっていたんだと思いました。
少しでも克服していけるようになって、梅谷と恋愛していける自分になってよかったと思います。
一生懸命恋愛している鷲園が凄くいとおしくて、応援したくなります。
まだ読んでない方はぜひ一度読んで見て下さい。
こんなに読んでよかったと思う作品は中々ないです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!