リカー&シガレット
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リカー&シガレット

座裏屋蘭丸

エロスの神様が萌えを描いたら…

ネタバレ
2021年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★ウェービーな黒長髪で色気際立つタバコ屋カミロ×褐色肌にタンクトップが映える酒屋テオの幼馴染ストーリー。

★舞台は架空の国とのことだが、南米やスペインのようなイメージ。ノンケのテオがバイのカミロに「ステディになりたい」と迫られ、「お試し」と称して、いいように開かれていく。それは、お酒のせいばかりだろうか。濃厚なカミロのキスとテクでパンツを履き替えさせられてばかりのテオ。カミロの一言、一手が、テオを感じさせ、意識させる。けれど、自分でも悲しくなるほど保守的なテオは、カミロと幼馴染の関係から抜け出せるのか…。

★カミロのセクシーさがすごいですね。物語の始まりの瞬間、サンダルでマッチを擦り、髪をかき上げる一連の流れだけで、心捕らわれます。熱のこもった眼、甘い言葉。繰り返されるキスと前/戯のような行為は、まるで体で会話をしているよう。エロスの神様が萌えを描いたら、ものすごい化学反応が起こったなという感動が沸き立ちます。欲求と要求は高まりながらも無理強いはしないカミロと、受け入れながらも迷いが拭えないテオ。同性同士の葛藤や揺れる気持ち、マイノリティに対する反応への思い等も描かれ、甘さと真剣さのバランスがとても良く、読後の満足感が大きいのです。

★描き下ろし含め202ページ。複雑さなしでとても読みやすく、美しい絵と選りすぐられたセリフに引き込まれます。坂の町並み、友人たちのキャラ立ちも素晴らしく、控えめと言えどエロスは美味で、何度もおかわりしてしまう作品です。

★同僚のお子さん(漫画家志望)が、BL漫画家のアシスタント先を探していると聞き、BLかぁ…と読んでみたのが始まりで、すっかりBLにハマりました。この作者様の作品は、特に好きです。
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