賢者の孫
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賢者の孫

吉岡剛/緒方俊輔/菊池政治

良くも悪くもご都合主義の見本市

2021年10月23日
アニメ化まで到達したなろう系の人気作品。

この作品を一言で片づけるなら「異世界ドタバタコメディ」である。
そして、小さい子供にも勧められる程度に「気楽に読める」という点においては秀でている作品だ。
まずエログロ。アニメ化出来るほどにレーティングは低い(エログロ描写はほぼない)ので誰でも気軽に読める。

そして肝心の物語だが「ご都合主義」ここに極まれり、と言った程度にご都合主義。
リアルを求めると全くもって「いやそれはないだろ」となるような展開、設定ばかりだがそこに目を瞑ればエグみのないお菓子感溢れる作品である。

逆にリアルさ、シリアスさを求めるならこの作品には一っっっ切期待しない方が良い。

シリアスな部分もあるのだが基本はチョコや飴などのお菓子に、ちょっとビター風味が混ざったりする程度だ。
根本的にものがコーヒーだったり辛口カレーだったりという訳ではないのだ。

例えば文字エンチャント。
この世界の言語は英語に近いものがあるので5文字までエンチャント可能だとしても入らない、なんてのが今までの常識だったが、日本独自の「漢字」というものを用いる事で少ない文字数で多彩な特殊効果を複数付与する事が出来る、と主人公は異世界で初めて発見する訳だが。
それを言うなら中国語なら一文字で「無病」とか「不壊」みたいな意味を持つ言葉があるし(というか日本の漢字にもあるが)、そもそも「命が掛かってるんだから、一つの文字で複数の意味を内包する専用の文字くらい開発するだろ」と思う訳である。


悪い言い方をすれば子供向けで、基本甘くて後味スッキリ苦みエグみのない物語だ。
そう言ったものが好きならばこの作品は好きになれるのではないだろうか。
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