コヨーテ
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コヨーテ

座裏屋蘭丸

こんなにも焦がれて、求め合う二人に涙。

ネタバレ
2021年10月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 4巻まで読了。瞬きする間もない程に、目が離せない展開。息を詰めてのめり込む。自分でも説明のつかない一抹の不安と緊張感に、カラカラに乾いた唇と喉。読み終えた後、ふぅっと大きく息を吸い、ふぅっと大きく息を吐いた。それほどの大作です。
人狼(ヴァラヴォルフ)と敵対するマフィアの跡取りの禁断の恋に、一瞬にして心を奪われ、夢中になって読みました。まだ未完がとてもつらい!
生きる世界や種族が違う二人が、互いの素性も知らず、ただ恋をしただけなのに…なんという運命の悪戯なのでしょう。ただ愛してるだけなのに…
反目しあう組織の中で、出会うべくして出会った二人にとってはある意味、残酷な運命。それでも焦がれて、焦がれて、心の叫びが聞こえて来そうです。
安住を求めるヴァラヴォルフ達の生きる道を破壊しようとするガーランドとの闘争。その緊張感の中、思うように会えないリリーとマレーネの束の間の逢瀬が、とても美しい。狂おしい程に焦がれて、求めて止まない互いの体温。その熱量が溢れて一気に溶け出す。あぁ、これぞ座裏屋先生のエロスだなと。愛の囁きに痺れます。もう、このまま幸せでいてと願わずにはいられません。
だけど人狼にとっては生きづらい世界を、まだ許しちゃくれない現実に、彼らはどこまで苦しまなければならないのだろう…獣の血を持っていても、決して野蛮なケダモノではない彼ら。家族を失った哀しみを復讐で晴らしても、また憎しみと復讐の連鎖が生まれるだけな気がします。それで争いは終結するのでしょうか…
人間と人狼が共存する世界が難しいとしても、お互いの安らぎの場を侵さず、静かに暮らす事が一番ですが、今は今の争いを終わらせるしかない。何か大事な物を手に入れるには、何か大事な物を手放さなければいけないというのも不条理ですね…
闇の中を彷徨うように、手探りで光を探し求めるようです。いつになれば闇を抜け、光は見えて来るのでしょうか…
家族を失ったそれぞれの抱える苦しみに、魂の救済がありますように…。もう誰も傷ついて欲しくありませんね。キーファも、マレーネの祖父もみんな。
まだ続きます。先を知りたいような、知りたくないような。ただただリリーとマレーネの幸せな姿を見たいです。
まだ未完ながら、絶大な賞賛に値するほど素っ晴らしい!大切な作品となりました。沢山の人に読んで欲しいと思います。1、2巻のみダリアクーポン対象24日まで。
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