このレビューはネタバレを含みます▼
後妻の浮気による両親の諍いにウンザリする15歳の智は、アパートの隣室の大学生•裕一と話をするようになり、裕一から初恋の祟りについて聞かされます。初恋だった相手をフった人間は祟られるという話です。親達を見ている智は、自分は誰も好きにはならないと言うのですが、ある時裕一に、はずみでキスをされてしまいます。けれどもその翌日、智は後妻の浮気相手が裕一であることを知り、数日後、裕一は去り、両親は別れ、智達も引越したのでした。そして10年後、二人は建設会社の社員と埋蔵文化財調査の職員として、ある土地を巡って再会します。顔を見てもすぐには智がわからなかった裕一は、智にキスしたことも思い出しません。智は土地に関する便宜を図る代わりに週末は自分の言いなりになることを強要してきます。当時の智とのことを思い出せない裕一は智の行動の意図がわからず、裕一とのキスからゲイになった智は、一向に思い出してくれない裕一を歯痒く思い、二人は身体を重ねながらも相手のことを理解できずにもどかしい想いに執われてゆきます。まさに10年前に死んだ筈の初恋のゾンビ化です。なんだかんだと昔も今も流されやすい裕一が、智の初恋の死霊にがっちりキャッチされてのハッピーエンドですが、最後に何故あの時裕一が智にキスしたのかがわかります。意外すぎるそのきっかけが楽しいオチでした。