トロイメライは嘘をつく
」のレビュー

トロイメライは嘘をつく

イシイ渡/小春りん

シューマン「こどもの情景」より。

ネタバレ
2021年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ ピアノが弾けなくなった主人公。自分一人では弾くけれど。それは自分のためにだけ、という状態。
聴き手が現れる。人前で弾けなくなったと言い訳するが、彼は、だったら自分(彼)のために弾いてよ、と。流れる時間が優しい。

ストーリーはきれい。
ピアノの師の人間描写がなんとなくいびつな印象。
音楽の楽しさに誘った師が、豹変。状況設定されている背景を振り返り描写されても、それでも、そこまで極端?
更に、憑き物取れたようになって、主人公にとってのトラウマが遠ざかる。嵐は過ぎ去る訳だが、よくあの一件で乗り越えたな、と、ほぼ一発勝負の回復劇に、驚きも。
結人はいいとして、コウジの扱いが多少微妙。
友情のストーリーへの絡み、もっとビジュアルで感じたかった。
人物の絵がおとなしくて、大きいコマをやる前に、小さめなコマで印象付けを積み重ねてそこからの大コマへのスケールを味わいたいと思った。

使用されていない教室がそこまで幽霊話だけで大半の生徒達を遠ざけられるものだろうか、とか、そこまでピアノの練習に打ち込んでいたレベルの人が自宅などレッスン室以外にピアノ保有していないとは考えにくい、とか、学校という教育現場で外部講師がそういう介入出来るのか、とか、あれこれ疑問も浮かんでは、お話なのだから、と割りきろうと努めた。

それでも、事故ネタがベタ過ぎた。
いろいろと不思議はある。もともと不思議を捉えているので、飲み込む。

トロイメライの曲の説明はドラマチックで良かった。
演奏シーンが、ライブ感はないものの作画担当の先生の素直な絵に主人公のキャラは反映されていた感じがした。
3.5のつもりです。
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