俺はニーチャ
」のレビュー

俺はニーチャ

三田六十

純粋に勝る武器はないという

ネタバレ
2021年11月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 健気受けは大好きです。
その健気が家族に向かっているところがポイントです。店長が希に惹かれ始めたのもソコですし。
それに決して家庭環境は悪くない。
希が望んで大好きな家族のために動いている。
そんな家族も、それを見ている友達も愛を持って「ニーチャ」と呼んでいる。
普通の高校生だったら、ではなく希だから遊んだりサボったりするのではなく、家事を頑張る選択をしているんだと思います。
タイトル通り、「ニーチャ」と言う呼称に誇りを持っています。
健気と判断するのは外側の人間で、本人はちっとも思っていない。
ちゃんと大学まで行かせてもらえるんだし、どちらかと言えば幸せな子どもだと思います。

けれどやっぱりいい子は疲れるし、自分って何だろう?ってアイディンティティが曖昧になっていく。
せめて名前で呼ばれたい、という思いがどんどん切実になっていく。(ママ友同士で〇〇ちゃんママって呼ばれ続けてて私って何?と思う人とちょっと似てるかも。イヤ根本的には違うけれども。)

そんな精神的に危うい17歳が、コロンと大人で善良な人に恋してしまう。しかもゲイ。
BLの始まりです。溜まりません。
もっと溜まんないのが無自覚に大人を落とす言葉や表情。
汚れのない真っ直ぐな気持ちが全集中で大人にぶつけられる。もう絶対に勝てないヤツです。

はぁ〜、良きものを読みました。
頑張った希と優しい店長が共に幸せになれたのを読めて私も幸せです。

セック ス描写はありませんが最後に同 衾はしています。

この先生の下半身と靴の描き方、好きだなぁ。
身長差でつま先立つのもすっごく良かった。
いいねしたユーザ14人
レビューをシェアしよう!