愛し
」のレビュー

愛し

くれの又秋

To dear my sorrow.With love☓☓☓

ネタバレ
2021年11月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★お人好しの童貞大学生・翔真とマイペースなバイセクシャル・芦田の再会同居ストーリー。

★バイト帰りに翔真がゴミ捨て場で拾ったのは、中学の時の同級生・芦田。恋人にフラれて部屋を追い出された芦田は、翔真にしばらく置いてくれと頼む。拾った日に、自分のアソコを舐めていた芦田に戸惑いながらも同居を了承した翔真だったが…。

★英タイトルの"To dear my sorrow"に、まるで自分に宛てた手紙のようだなと思いながら読み始めました。芦田の"sorrow"、とても怖がりで臆病で、好きになればなるほど、距離が近くなればなるほど不安になってしまう。持て余す矛盾や満たされない渇きの寄る辺が翔真だと感じているのに、「わからない」と答える芦田は、経験ばかりが先行して心は置いてけぼりなのが、切なくもかなしい。翔真の"sorrow"、あまりにも優しくて、相手の気持ちを大切にしすぎてしまう。自分の「好き」を大切にしているようでありながら、本当は芦田の気持ちを1番に考えるからこその拒否が、正しくも切ない。

★描き下ろし含めて203ページ。最後は「大丈夫だよ、"かなし"は"いとし"になるからね」とそんな言葉で結ばれる手紙を読ませてもらったような、あたたかい読後でした。

★私には体験できない"リバ"に惹かれますが、帯の言葉、「最高」の敷居が低い気はします。でも、「誕生」が付いているのがニクいところ。「自分も気持ちよかったから相手も気持ちよくさせたい」系の愛と優しさがあふれるリバとは違って、形としてはリバですが、気持ちの上では芦田の一方的な思いからくるリバ。これも「かなし」なのですが、きっとこれから「最高のリバ」を築いていく2人なのではないかと、真っ赤になりながら翔真を抱きしめる芦田を見て、そう思いました。
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