デュオ・ラブ
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デュオ・ラブ

町屋はとこ

フーーーーーーッ

ネタバレ
2021年11月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上下巻合わせて550ページの読み応え!すごい!
上巻は、ラブ要素よりもデュオについて丁寧に描かれていて、ピアノの気持ちよさや楽しさがすっごく伝わってきます。要が初めて明慶の演奏を聴いた時の心地よさを私も要を通じて感じました。2人の演奏が一つになった「ドリーの庭」、強引なリードに興奮した「ラ・ヴァルス」など、漫画から音を感じられることに感動しました。それくらいの熱量をもって描かれているピアノターンですが、もしかしたら、興味が薄い方には退屈になってしまうのだろうか?と上巻ラストのスミちゃんの考察を読みながら思いました。
上巻終盤から下巻にかけては、要の過去や2人の気持ちの温度差が表出してきて辛かったです。離れないと気付かないことって実際ありますが、その時には手遅れということもあり…、要と明慶が選ばざるをえなかった別々の道が、再びどう交差して1本になるのかなとドキドキしました。離れることで悩み迷いながらも、互いにとっての大切なもので「伝えたい」という想いに、タイトルが生きているなと思いました。奏でるラブレターに胸がジーン…。そして、大好きなはとこ先生の愛し合うシーン。ゆっくりとやわらかく触れ合い、溶け合うように交わる2人にうっとりしました。フーっと幸せな大きなため息をついた後で、お母さん…。泣けてしまいました。きっと自分の死も覚悟したんだろうな…と想像できて、そこで厳しさを選んだお母さんの気持ちを思うと切なくて仕方ありませんでした。でも、子どもはちゃんと言ってもらわないと、その奥にある親心に気付けなかったりもするから…親の思い、子の思いは「通じるもの」と思い込んでいては、すれ違ったままになったりするんですよね。要が明慶に話せて良かったな。要のお母さんが明慶のお母さんに本心を伝えられて良かったな。
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