例えば雪が融け合うように【コミックシーモア限定版】
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例えば雪が融け合うように【コミックシーモア限定版】

カサイウカ

もう離れない。離さない。

ネタバレ
2021年11月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『例えば雨が降ったなら』の続編に感謝です。余韻の残る素敵な結びではありましたが、まだまだ幸せな姿に安堵したい思いもありました。
会社の身辺整理などで、一度充の元を離れた久我。久我の「ただいま」が優しくて、充のやっと言葉になった「お帰り」がその一言の中に、いろんな思いが込められていそうで、感慨深いです。一度は死のうとまでした久我は、全部カタをつけて晴れやかな顔をしているけれど、どうして充はまだ不安を残すのか…
久我の穏やかさは、充を受け止める腹をくくったからなんだろうと思える。突き放してしまった高校時代の後悔は、二度と繰り返さないように、何があろうとも受け止めるんだろうなぁと。穏やかに、優しく充に微笑みかける久我は、充のスッキリしない不安を感じ取って、安心させたいのではないかと思いました。前作のレビューでも書きましたが、セリフのない表情が訴えかけるもの、その描写が素晴らしいんですよね、先生の作品は。ほんとに温かくて優しい久我の愛が、じわじわと沁み入ります。
充には言えない過去があって、その過去がつきまとう。そして、全てにカタをつけて精算する覚悟がカッコ良かったよ。久我にとっては、過去は充の一部に過ぎず(カッコいい~)もう、前しか向いてないんですよね。過ぎた過去は振り返らない。前に進む事しか考えてない。うぅ、しびれますぅ~。
互いに互いが生きる理由だから、胸を張って未来を見つめてます。なんて素敵な二人でしょ。不器用ながらも必死にやっと掴んだ初恋の愛しい事よ。時折、差し込まれる高校時代の回想が、ほろ苦くもあり、照れくさい思い出となって心をくすぐります。
深い眠りにつけない充が、やっと安心して眠れる安息の場所が久我で良かった。久我にとっても、安らぎが場所が出来て良かった。泣けちゃいます。充は、もっともっと久我に甘えたらいい。久我が全力で支えてくれるはず。黄金座を守ろうとした時のように、カッコよく守ってくれるよ。
あぁ、まりかさん、お幸せに。黄金座よ永遠に…
大人の切なくて温かい恋が最高のカサイウカ先生に拍手喝采です!

充を呼び出したヤクザの橘。ヤクザのやってる事は別として、自分の死期を知った時会いたい人は家族でもなく、愛人として手先として側に置いた充。そこに人知れず愛があったのかと思うと、うーん、やっぱり深いカサイウカ作品でした。
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