スピンアウト
」のレビュー

スピンアウト

国枝彩香

こういう作品大好きなんですが、嗚呼…複雑

ネタバレ
2021年11月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ こーれーはー非常に面白かったです!個人的に好みどどど真ん中の作品でした。
(ネタバレしてます。)
上下巻を通して徐々に変化していく巽さんの心情が、僕にとって、この作品の見どころのひとつだなあと感じました。巽さん視点で語られるモノローグが主軸となって物語が進むので、彼の心の機微や些細な変化をとてもわかりやすく読み取る事ができるなあと僕は思いました。始めは、三木くんを可愛い涼馬くんの代わりに"利用"していた巽さんですが、三木くんへの想いに気付き始め、会えない時間が長くなるにつれて、今度は涼馬くんを三木くんの代わりに"利用"すると…。ここの3人の関わり方、設定がすごく好きです。それから、そういう巽さんの行動・思考と繋がるその時の彼の精神状態がどういうものなのかもすごく興味が湧きました。モノローグや会話、絵描写の先にある彼の心理…。あでもそれを言ったら、三木くんに関しても謎多きですね。彼の双極的な感情の高低もすごく気になります…でも、判断材料が少な過ぎるので無闇に括れないですねえ。。うんうん。涼馬くんの本意もわかりやすそうでよくわからない。ただ、衝動任せで一番危なっかしい人物なのかなあとは思いました笑。他にもお姉さんとかヤーさんのおっさんとか、深掘りしたら面白そうだな〜と思う登場人物ばかりでとても興味深かったです。キャラたちへの不完全燃焼な思い、国枝先生もあとがきで言及されてますね〜。
もう本当に最っ高にアツい作品なんですが、やはりあのラストはかなりショックでした…。下巻収録6話冒頭で見せる巽さんの安心した表情。あんなに厳つく険しい顔付きだった巽さん、三木くんとの関係が深まるにつれて、段々とその硬い表情も柔らかくなってきているのかなと感じました。痛み止めを飲ませる流れからのあの濃厚キスシーン、もう最高じゃないですか!なのに、なのに、、なのになぜ!!なぜ三木くんを死なせてしまったんですか〜〜先生!どれだけ正気じゃなくてもいいから、どれだけスピンアウトしてもいいから、好きな人とはともに幸せになって欲しかったです…涙。絶望的。最後はふたりの幸せな姿を見たかった…というのがいち読者の本音です…が!作品としてはとてもドラマチックでインパクトがあり、最高に面白かったです。あと最後にぶっ込まれる、お姉さんとその子供……衝撃続きで振り回されました笑。でも真相は気になりますね…。
あ〜複雑!
いいねしたユーザ26人
レビューをシェアしよう!