雪の下のクオリア
」のレビュー

雪の下のクオリア

紀伊カンナ

衝撃の「めぅめぅ」笑

ネタバレ
2021年11月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォローさんのレビューを拝見して手に取ったこちら、私もとても引き込まれました。
静からの動への流れ、音への反応、煙の動き、あ、これは一コマも見逃したくないな、と思いました。
もっと書いてしまえば、植物の世話をするときのエプロン(白衣じゃないんだ)、丼に盛られた2人分のご飯、先輩の滲む生活感。笑わない先輩が、父親が置いていった煙草をずっと吸っているのはどうしてだろう。
お弁当のプチトマト、コップに生けられた椿、ニンジンの型抜き、垣間見える海の育ち。温かさが見える暮らしを経て、好きな人ではなく誰とでも寝るようになったのはなぜだろう。
2人のことが気になって、知りたくて、世界に入り込んでいました。
真逆の2人のようで、分かり合えない2人のようで、1番相手のことが分かってしまう。それを言葉で示してくれる。オブラートに包まれない言葉は、苦味もあるけれど、根っこにある温もりが心に染みてくる。まるでやわらかい春の日差しが、優しく雪を溶かしていくようだな、と思いました。
それにしても、事後に謝る大人のズルさに振り回された中学生の海が辛すぎました。
先生と別れたときも泣かなかったんじゃないかなと思う海の涙に、胸がいっぱいになりました。再会の時、先輩と出会っていて本当に良かった。
春になり、海の隣で優しく微笑む先輩にも、良かったね、と私も幸せな気持ちになりました。
オススメありがとうございました。めぅめぅ、衝撃の可愛さでした笑。
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