このレビューはネタバレを含みます▼
初読み作家さま。
「夜空のすみっこで」のスピンオフです。
実際なんかこう、わかりにくいんですよ。このわかりにくさは、登場人物達を見ている読者のフレームから更に外れたところで彼らが常に動いている感じがあるからかと思うのですが。
なのに彼らの一挙手一投足にじんときて泣きたくなる。
感情的にはもんのすごくすんなり入ってくるけど、何をそんなに拗らせてるのか話が見えにくい。
「夜明けにふる、」ってタイトル通り、夜明けのあの空気感の中で上下巻の長くて短いストーリーがいきなりぱたっと終わる。それが好き。
幼なじみの真っ直ぐで諦められない恋。
前作で小学生だった翔太と大樹がもう高校生。
ずっと星野先生が好きだった翔太と、翔太を思い続けている大樹。星野先生と翔太の父の話が前作でしたが、その後の2人もこちらの話に絡んでいます。
お父さん&星野先生cpも一筋縄ではいかない様子。星野先生を思う翔太を「俺にしとけ」って、もうもうもう大樹のセリフがめちゃくちゃ胸をドキドキさせるんです。
星野先生をずっと守りたかった翔太が大樹にはねじ伏せられてしまう。星野先生に対しては攻め属性だったんじゃないかと思われる翔太が、大樹にとっては守りたい対象になってしまっている関係性のねじれ。
翔太の行動が自分のアイデンティティを崩壊から守るためだとしたら、あの反抗期もわからなくはない。
誰かを思う気持ち、どうしてもその人じゃなきゃダメ、という程の恋。大樹の重さに翔太がどう答えていくのか。翔太と大樹はまだこれから。その先を描かないからこそ「夜明け」が効いてくる。不思議な作品です。私は好き。