途中で挫折せず、最後まで読んでみてー





2021年11月17日
作者買いです。こちらは男同士の恋愛にも触れていますが、一般小説分類になっている通り、それだけに留まらない人間ドラマ的要素が強い作品だと思います。秘密Ⅰ・Ⅱ・Ⅲとパートが分かれているんですが、正直秘密Ⅰを読んでいて心が折れそうになり、ちょっと読むの止めようかな~とも思ってしまいました。まず、登場人物に全く共感できないし、主人公(啓太)の視点があまりにも自分勝手で不快感さえ覚えるくらいでした。それに加えて内容のエグさ、そしてずっと張り詰めた緊張感から逃げ出したい衝動。でも、頑張って読み続けて良かったです。後から考えると、啓太目線の、この追い詰められた感覚を読者が疑似体験してしまうという、圧倒的文筆力!!秘密Ⅰでは、啓太のことを溺愛する杉浦充という男が啓太目線で書かれています。秘密Ⅱでは従兄弟の榎本目線、秘密Ⅲでは充の弟である樹目線で杉浦充という人間像が浮かび上がって見えます。時間の経過はあるものの、三者を通して捉えられた充の人間像にはブレがなくて、きっと作者様の頭の中には充という人物が明確に出来上がっているんだろうなぁと思ってしまいました。啓太に関しては、若干不明瞭なところが私の中には残りますが…。読了して、あ~、最後まで読みきって良かったと思える作品でした。だから、興味のある方は、途中で挫折せずに最後まで読んでいただくことをオススメします!つくづく、作者様スゴいなぁと感心してしまいました。

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