ふしぎ遊戯 玄武開伝
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ふしぎ遊戯 玄武開伝

渡瀬悠宇

玄武編が一番良い

ネタバレ
2021年11月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 白虎編がまだ途中なので、現時点ではの話になるけれど。まず主人公の覚悟からして格が違う。この作品を読んでしまうと、これまで面白かったはずの青龍・朱雀編が、好きな人には申し訳ないけれど、一気に色褪せ、普通に恋愛絡みの小競り合い・七星士同士の潰し合いに見えてしまう。この2人の巫女たちは、いくら当初は誤解があったとはいえ、自らの恋愛を優先したり、自分の言動で周囲を巻き込んで事をこじらせ、いろんなものを対立させた挙げ句に互いの味方を死なせてしまったりと、結局は何がしたかったんだろう、ただ無意味に犠牲者を増やしただけなのでは?とすら思えてしまう程、後に行くにつれて内容が微妙になっていくのだが、玄武編は違う。多喜子は恋愛をしながらも、きっちりと自制をし、それを長く持ち込むことはしなかった。更には他の巫女たちには無い、迫り来る自らの死とも過酷に闘いながらも、それでも巫女の役目を自らの責任と位置づけ、決意し、あれだけのことを立派に為した。
青龍・朱雀編からその結末は知っていても、多喜子の強さに、優しさに、その意志の強さに、涙無しには読むことは出来ない。自分の欲を優先せず、ただただ、ひたすらに北甲国のため、民のために願いを優先させた多喜子には、漫画のキャラクターと知ってはいても、尊敬の念を抱かずには居られない。
この漫画は漫画の与えるものの域には到底留まらない。読めて良かったと心から本当にそう思う、数少ないお勧めの物語。是非。
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