鬼と天国 再 【電子限定特典付き】
」のレビュー

鬼と天国 再 【電子限定特典付き】

お吉川京子/阿賀直己

このBLが沁みる2021大賞

ネタバレ
2021年11月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ もうね、ぼろぼろに泣いてしまいました。
前作から良かったけど、今作は遥かに上をいく良さでした。
よく一冊にこれだけ詰めて下さったと心からの感謝と称賛を送りたいです。
台詞、表情、コマ割りetc、すべてが刺さりまくり、沁みまくりの一冊でした。
人間皆色んな理不尽と戦いながらそれでも必死に生きてるわけじゃないですか。
楽して生きてる人も好きなことだけして生きてる人も言いたいこと全部口に出せる人もそうそういないわけで、なにかを我慢して生きてる人が大半だと思うんですよね。
この本というかお話は、知らず知らずのうちに溜め込んでいたものを曝け出して肯定してくれてるような、そんな気持ちになる本です。
大まかに分けると天獄先生パートと青鬼先生パート、それぞれの背景と救いなのですが、その対比が素晴らしかった。
足りないところを補いあって、凸と凹がしっかりはまるあのかんじ。
作中の台詞の引用となってしまい恐縮ですが、青鬼先生とお母さまのお話になってからの天獄先生の「あなたを傷つける人を許さないで」は個人的にBL史(?)に残る名台詞でした。
あのページ、コマも背景も少ないからこそ表情がすべてを物語っていて、めちゃくちゃに感情移入してしまいましたね。
読者の私まで救われたような気がするんですから、青鬼先生はきっともっと心が軽くなったことでしょう……。
というか再になってからの天獄先生、やばすぎますよ。
人間的な成長が著しすぎて、何度ときめきと感動をもらったか分かりません。包容力があるのは間違いなく青鬼先生の方なのに、天獄先生は欲しいときに欲しい言葉をくれるというか……なんて言えばいいのかな。とにかくものすごくかわいくて素敵な「人」に成長してくれました。
描き下ろしの花束をもらったときの台詞ももう、花丸百点満点でしたね……。
このふたりのお話はまだ続いていくようで、大袈裟な言い方ですが、生きる希望ができた気がします。
間違いなく今年の大ヒット作(個人的に)のひとつになりました。
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