ワンダーフォーゲル【SS付き電子限定版】
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ワンダーフォーゲル【SS付き電子限定版】

草間さかえ

謎解きBL(ネタバレご注意!

ネタバレ
2021年12月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 同じ世界の2つのお話が収録されています。
「見えないともだち」2話。
初読ではややこしいと感じました。
主要人物の呼称を作為的に複数使っている為なのでキャラと名前をしっかり識別して再読するとスッキリします。
謎の奥に謎を複数重ねた構成ですが、ひとつずつ解明されて最後にはつまびらかにされています。
主たる謎の、
(なぜゆうとの父親はゆうとを連れて半年以上放浪していたのか?→ 余命残り少なくなり最期に妻に似た息子をそばに置きたかったから。)
(なぜ祖父はゆうとの記憶を消したのか?→ 父親がゆうとを妻の代わりに性的な処理をさせていたから。)と、読み取る事ができます。
稜が隠したたくさんの事、祖父がゆうとを隠した理由、ゆうとがマルチ部で頑張っている事等々、謎が解けた時に各々の必死で優しい思惑が理解でき胸を打ちます。
部費の延滞、サークル名の変更など背景にある些事も楽しかったです。。

表題作「ワンダーフォーゲル」3話。
心を読み取り特に性欲や好意に同化しやすいエロミステリアスなイブさんと、DTなのにいきなり寝ぼけて素/股かましちゃう天然雄みのある稜の組み合わせが最高です。
奄美の植生や海、夜、雨、台風が奥行きを持ってリアルを感じさせる背景。
最後まではやってないのにエロスを感じる絡み。
身体だけではなく会話で深まる関係。
全てが良質でしっとりとまとわりつくようなとても雰囲気のある作品だと思います。
タイトルから想像してしまった野外でのアッチの活動はありませんでした。
当て馬の作家先生は、当て馬以外に作品に強く絡んでくる良い(悪いw)役割を担っています。
続編に続かせるためのミスリード?的なイブさんの発言があって、「センスオブワンダー」への期待も高まります。。

局部はトーンでの陰影や破線、遠慮がちな実線でも描かれています。
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