ハビービーにくちづけを
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ハビービーにくちづけを

熊猫

きんいろぎんいろ砂漠の夜はにじいろの夢

ネタバレ
2021年12月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 場所も時代も定かではないアラビックファンタジー。
北の国からやって来たフリーライターのザックは、太陽の国サンドラで本を運ぶグレースと従者のティートに出会います。宮廷司書の家系であるグレースの図書運営を手伝うことになったザックは、同時にグレースの身の回りや夜伽の世話も引き受けることになります。褐色の肌に漆黒の髪と瞳を持つグレースは美しく、媚薬の効果もあって危うく受けにされかけるザックですが、なんとか形勢逆転して無事に任務を果たします。翌朝、クビを覚悟したザックでしたが、グレースは普通に業務に勤しんでおり、ザックの就職が決まります。けれども夜伽の度にティートの名を呟くグレースに、ザックは複雑な想いを抱くのでした。
ザックが幼い頃に読んだ絵本の謎が、ザックとグレース二人の冒険によって解き明かされると同時に、金髪碧眼、抜けるように白い肌のザックを、グレースはしっかりと見つめることができるようになります。
きらめく砂の海に昇る月の下、ハビービー=愛する男性にくちづけるシーンは息を呑む美しさです。表紙のままに、どのページも細やかに描き込まれたエキゾチックでロマンティックな物語をぜひご堪能下さい。
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