このレビューはネタバレを含みます▼
広島-東京間で新幹線に偶然乗り合わせた3組のCPのお話。広島から乗車するのは東京の大学に進学する佐々木望海、 優しげな風貌ですが、高校の空手部主将でした。望海の演武を見て入部してきた一年下の吉川燿との、恋に落ちる一歩手前の高校生活が望海の広島弁で語られます。未練を断ち切ろうとのぞみに乗り込んだ望海の前に耀が駆け込んできますが、ドアは無情に閉まってしまいます。心掻き乱された望海の隣に座ったのは北欧系CPのミカエルとエリクでした。クールでつれない素振りのエリクに指輪を渡したいというミカエルに望海は協力し、二人は望海にお礼を言って京都で降りてゆきます。
次に望海の隣に座ったのは部下と上司のリーマンで、会話や手を重ねる様子から付き合っているらしく思われるのですが、寝てしまった上司の日野に肩を貸していた部下である梶原の、品川で降りる時の傷ついたような表情に望海はかつての自分の姿を見るのでした。そして終点東京で下車した望海は耀に電話をかけ、好きだと告げます。
この243分間の出会いを軸に、それぞれのCPの乗車までの経緯や、その後が描かれます。北欧CPは若干比重が薄めですが、他の2CPについては、しっかりと読み応えがありました。