手を伸ばしたら、つばさ
」のレビュー

手を伸ばしたら、つばさ

山田ノノノ

真っ青な空と、里見くんの瞳に映る光が全て

ネタバレ
2021年12月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 山田ノノノ先生の作品を読むのは初めてです。お名前は知っていましたが、何となく痛々しそうだと思い手が出せずにいました。
今作はSNSで告知を見かけた際、表紙が驚くほど綺麗で惹き込まれ、紙で予約して買いました。修正は白線で血管バキバキ最高でしたよ(小声)皆さんぜひ紙で買って下さい。電子も買ったら白飛びすぎて驚き。とてもエチな場面で何も見えない(笑)
初めてのノノノ作品、本当に素晴らしいお話でした。最高です。今まで購入しなかった自分をぶん殴ります。受けに執着する攻めのお話?と思っていたら、そんなもんじゃなく自分の好みど真ん中をぶち抜かれ心臓を粉々にされました(嬉)
この作品は、背中に秘密を抱えた完璧な編入生 里見千尋くん(下の名前も素敵なのにあまり出てこなかった…)と、夢に向かって研究に励む大学生 森野力良くんの、闇と希望と再生の物語です。(ここの文が好きで拝借しました)
以下ネタバレあり。読み進めていく中で里見くんの過去が見えてくるにつれ、本当に胸が苦しくて涙が出ました。里見くんは何も悪くない。何も悪くなかったのに、どれだけ周りに溶け込もうともがいても、その背中のせいで、過去のせいで、結局彼の言う「普通」にはなれなかった。肌を破る針の音が、彼の過去を思い出させ、上手く呼吸ができない。
そんな里見くんを暗闇から救ってくれるのが、いつも一生懸命で超良い子の力良くんです。ちび力良くん可愛すぎてハァハァした(やめて)。里見くんに好きだと言われモヤモヤ悩んだけど、彼の激カワな笑顔を見て、一緒に過ごす時間で彼を知って、自分の思いに気付くところがとても良かったです。本筋にある研究のお話も深くて、変えられない過去が切ないけど、未来を見据えているのが素敵。
カーテンを開けて見る青空が、途中の力良くんと最後の里見くんで対になってたのがもう、うるうるしちゃいます。この2人はお互いがお互いじゃないとダメで、2人だからこそ見られる景色なんですよね。
それと里見くんの瞳の描写の素晴らしさに震えました。力良くんを射抜くような目、何にも感情の籠っていない目、夢の中の透き通った目、夢と違い何も映らない目、力良くんを抱き上げた時のキラキラした目、全部全部本当に素敵です。この瞳だけで3杯はいける。毎話の扉絵も良い。本当に画力が高いです。
最後に嬉しくて泣いてる里見くんが愛しすぎます。頼む2人ともずっと幸せでいてくれお金は払う。
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