このレビューはネタバレを含みます▼
死にたいと願う不老不死の男(司波)と、司波の願いを叶えようと手伝う男(矢代)のお話。
司波の過去や幼馴染への思いを知ると切なく、また司波が抱える罪悪感が長年に度り彼自身を苦しめている状況にたまらない気持ちになりました。「死なない」というより「死ねない」という事がどれほど辛くて自身を苛むか、こんな不平等は過酷すぎると思わずにいられません。
だからこそ、荒んでいる司波が矢代の存在に救われ癒されていく様子にこちらまで優しい気持ちになってきて。矢代もある種の悩みを抱えていますが、お互いが自身の問題を昇華して求め合い心が晴れやかになっていくところは自然と目頭が熱くなりました。
賛否両論かもと作者様が懸念されたラスト、他のレビュアー様方が仰るように私もこのラストが好きでした。枯れた大地に降る霧雨は、司波だけでなく誰をも優しく包み込むようで矢代の深い愛を感じたほどです。そして、司波の破顔した姿が目に浮かぶようでこちらまで嬉しくなってきました。
20周年おめでとうございます、先生の作品に出会って私の心も潤いました。これからも応援したい作家様です!