転じて恋と生き
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転じて恋と生き

早寝電灯

交錯する4人の想いと記憶

ネタバレ
2021年12月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●転生モノ、個人的にはあまり得意ではないのですが、それでも良いなと思えました。吉武と八尋がこの学校で教師として出会ったことも必然だったのでしょうか。
●意識せず、過去存在した生徒の実名「春沖洋介」をペンネームにして小説を書いていた八尋。小説の登場人物「坂上三雲」。これを読んでなぜか懐かしさを覚える吉武。吉武は少しずつ違和感を感じて、これは三雲の記憶なのではと考え始めるけど、八尋の方が全く無自覚なのにどんどん洋介の記憶を表出していく。表向きは八尋なのに、中身はすっかり洋介に塗り替えられているような。そしてついに…
●前世の二人に翻弄されながらも、今の二人が今の関係を紡いでいるのが良い。八尋のシャツに吉武がアイロンをかけたエピソードとか。前世に関係なく、(いや、あったかもしれないけど、)八尋は吉武を特別に思い、吉武も八尋に心を寄せる。「洋介ではなく八尋にここにいてほしい」という吉武の想いが三雲に伝わり、三雲が洋介を連れて行ってくれた。
●洋介の三雲への想い(未練)が強すぎて、八尋はそれに飲まれてしまったような形になったけど、三雲は洋介への想いを昇華して未来へ繋いでほしいと、夢の中で吉武に託した。洋介と三雲の存在は八尋と吉武の中から抜けていったのかもしれないけど、記憶と想いは二人の中に残って、「ずっと一緒に」という願いを叶えるのでしょう。
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