地下室のワルツ -蜜と罰- 【電子限定ショートストーリー付】
華藤えれな/周防佑未
このレビューはネタバレを含みます▼
冒頭は監キン凌ジョグものみたいな感じですが、読み進めるうちにこれがユーゴスラビアで起こったセルビア人(正教会信徒)とボスニア人(イスラム教徒)の紛争がベースのお話であり、アレクと夏生が愛し合いながらも十数年間離れ離れになる経緯が過去と現在を行き来しながら明らかになっていきます。アレクは無口で無愛想な男で夏生は気が強くて曲がったことが嫌いなタイプ。小学生の時に出会い、アレクはそんな夏生のお日様のように朗らかなところに惹かれていきます。読み終わって思うのはアレクって理想の攻め様だなあということで夏生に対してはちょっと拗ね者になったりしますが、そこもまた可愛いかったです。運命に翻弄されて失われた時を取り戻したいと もがくアレク、夏生がまた健気でせつなくて度々泣けました。とてもいいお話でした。「あなたは僕を愛していない」の海堂とオスカーも出てきます。ミハイルは登場しません。前作を読まれなくても問題ないです。
2012年6月 総262ページ 挿し絵なし
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