薬屋のひとりごと
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薬屋のひとりごと

日向夏/しのとうこ

他の後宮物とは違う

ネタバレ
2021年12月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ コミカライズを読み(個人的に倉田先生の絵やコマ割りが好きです)、先が知りたくなって原作を読み始めました。最初は後宮が舞台になるので、多少のドロドロはありますが、上級妃の方々があっさり、おおらかな感じだし、ヒロインはそんなの全く気にしない生薬、毒に魅せられた変人なのでドロドロが苦手な方でも大丈夫だと思います。そしてその変人に惹かれる貴人は、猫猫へのアプローチの仕方が独りよがりで、一歩間違えばストーカーみたいでちょっと怖いです。
話が進むにつれて、舞台も後宮をどんどん出て行くし、薬のことだけでなく、アヒルやサツマイモの育て方が出てきたり、蝗害のオーガニックな予防法なども出てきたり、どこまで広がるのか楽しみです。
昔は解剖書が禁書だったとか、死刑になった罪人が解剖の対象になっていたが、解剖自体忌み嫌われる行為だったとか、そういう時代もあったのだなあと気付かされました。また、医官には女はなれないなど男尊女卑の時代なのですが、それに声高に反対意見を述べて自分の意志をとおそうとするのではなく、まあそれはしょうがないよな、と認めつつ、自分の薬屋としての知識を生かして、しなやかに、いつの間にか周りの人に認められるヒロインがカッコイイです。上級妃だったこともある里樹が、アヒルを育てる研究所で泥にまみれて働くというサイドストーリーもなかなかビックリでしたが、自立しようと頑張るお嬢様を応援したくなりました。他にも制約された社会の中で、しなやかに、したたかに、逞しく、狡猾に生きていく女性が沢山でてきます。
文章運びや言葉の選択が、小説としては稚拙かな?と思うこともありますが、ライトノベルなのでそういうものなのかな、と思います。
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