御伽
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御伽

琥狗ハヤテ

切なかったりほっこりしたりのBL御伽草子

ネタバレ
2021年12月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 日本や中国古来の逸話や伝承をベースにした人外ファンタジー集。『蒼き風の詩』産土神のしらかぜが治める山に、焼物師の伊吹がやって来ます。この山の土で、しらかぜの翼や髪のような美しい青磁を焼きたいという伊吹がある日、落石に見舞われます。『海底まで』漁で生計を立てる村のナギは、海の番人である巨大な鱶•不知火と日々戦っています。決して殺さず、漁師が網を上げる間、命懸けで不知火を押し留めるナギですが、回を重ねるうちに、長い時を孤独に過ごしてきた不知火と、村の為に贄となったナギとの心が寄り添います。『きつねうどん』豆腐の振売がある日、山道で担い屋台のうどん屋と出会います。すぐに耳と尻尾が出てしまううどん屋は、その屋台も4本脚で見るからに妖しく、命惜しさに請われるままに売れ残りの油揚を渡すのですが、そのきつねうどんはビックリするほど美味しいのでした。『燕丸』戦いに敗れた小野田宗行とその妖刀•燕丸との逃避行が描かれます。『龍の秘薬』皇帝の命で、一人の士が遥々龍神の元へ秘薬とされる「龍の血」を請いに来ます。それぞれ風味も後味も異なる5編、いずれも佳編でした。
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