君とハネムーンにさらわれて
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君とハネムーンにさらわれて

野津いぬま

桜はまた咲くよ…と言いたいけれど、涙が…

ネタバレ
2021年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★高校からの親友・久野と吉永の江ノ島での半日を描いた物語。

★午後出勤を終えて自宅に帰る途中、待ち伏せていた久野に車に乗せられて向かった先は江ノ島。吉永の耳にロックンロールがきこえる…。

★「君に」ではなく「君と」なんだな、と思いました。本当に、吉永、そういうところ苦笑。他のレビュアー様が書かれていましたが、久野にとってこの“ハネムーン”は、気持ちにケジメをつける「俺の」ハネムーンとして描かれていますが、吉永にとっては、「君と」のハネムーンなのですね。久野と同じ気持ちではないから、「君と一緒にさらわれたハネムーン」を親友との思い出の一つとして心のページに綴じ、安心してミキさんの元に帰っていけるのですね。久野の「精一杯」に吉永なりの「精一杯」で応えていると感じ胸打たれましたが、それでも、久野の想いに泣けてしまいますね。読み返すたびに涙の量が増えるのはなぜでしょうね。

★表題作のみ41ページ。過去の叶わなかった、諦めた恋を思い出したりもしましたよ。切ないですね。

★“バームクーヘンエンド”という言葉を初めて知りました。どういう意味だろう?と調べてみて、納得すると同時に、この物語に使用するのがさすがだな、と思いました。ご縁に感謝です。
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