WORK in
」のレビュー

WORK in

鈴木ツタ

温かい気持ちになる優しい作品でした

2021年12月31日
初読み作者さんの作品。読んだ後温かい気持ちになる作品が読みたいな、と思っていたときぴったり心に寄り添ってくれました。

2cpのお話が入っていて、最初のact.1.2は、ノンケの年下上司の高瀬を憎からず思っているゲイの飯塚が主人公で、2人で呑みに行ったのに途中から記憶がなくて翌日からの高瀬の言動に一喜一憂するようになり…で始まるお話。途中、回想で物語れる飯塚がかつての交際相手から受けた仕打ちで、社内で異質なものとして見られるようになった、と感じている飯塚の心の内が描かれ、それは辛いなぁ、と。しかも、飯塚が辛い過去の教訓から敢えて自分からゲイだと高瀬に打ち明けたのに、その結果高瀬からも距離を置かれたのだとしたら、なおさらだな、と感情移入したところに年下上司の高瀬が来てからの思いがけない展開!に、読んでいるこちらが満ち足りた気持ちになりました。ハッピーエンドなのに、それを受け止めきれない飯塚のジタバタがいじらしくて可愛い。個人的に社会的少数派と感じている飯塚のような登場人物に生きづらさを感じる人として自分を投影して見てしまうところがあって、その飯塚が自分の気持ちに素直になり幸せになる過程に一層喜びを感じてしまうのかな、と自分の内面まで振り返り、2話のお話なのに思いがけぬ充足感を感じたのでした。最後のおまけまんがで続きが読めますが、付き合ってからも敬語の高瀬を「ガリ勉くん」呼ばわりのセンスが良きです笑。何にガリ勉なのかはBLならではなことです笑。

act.3〜5は、最初のお話に少し登場したオープンゲイの舞台大道具係の湯原と、子持ちのタバコ屋さんのおとーさん史郎さんのお話。湯原とバーのママさんの会話が面白さに笑わされ、史郎さんの子みちるちゃんのナイスアシストがあって、史郎さんが女性を愛せないのかと悩んでいることを知り、愛して欲しいと思う内面を隠して史郎さんと距離を縮めようとしながらも、お互い勇気が出なくてもだもだしているところにキュンとするお話。湯原の豪快そうな見た目と違って好きな人を思うからこその繊細な内面が描かれていて良かったです。

読むきっかけは、半額セール中だったことにあった分、思わね掘り出し物に出会った気持ちです。これから、この作者さまの作品集めてみようと思いました。
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