寄越す犬、めくる夜
」のレビュー

寄越す犬、めくる夜

のばらあいこ

三角は円になるのかも…と思いました。

ネタバレ
2022年1月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★お人好しで可哀想フェチ・新谷×浅はかなチンピラ・菊池×ヤクザのオンナでヤク中・須藤のめくるめく地獄と先が見えない三角関係ストーリー。

★ヤクザ経営のカジノでのイカサマがバレ、捕らえられた菊池と巻き込まれた新谷。2人に与えられた罰は、新谷が菊池を犯すところを録画するというもの。罰を命じるのは、オーナーの愛人・須藤だった…。

★よく、このラストに辿り着けたな、と思うくらい先の読めない怒涛の展開でしたね。詰めていた息を、ふーっと吐き出せるエンドでしたが、切なすぎて、どう言葉に表せばいいのかな、と考えていました。須藤は、新谷との約束があるから(約束だけで)生きているのに、新谷は傍にいない…とてもキツイです。須藤が菊池に手紙を書いた理由は、菊池が言う通りで、菊池を通して新谷を感じたかったのだな、と思うとまた辛くなりました。どうして新谷なのよ、と思ってしまいます苦笑。でも、新谷が新谷だったからこそ、菊池は真っ当に暮らし、須藤は生きる選択ができたのですよね。新谷、ありがとう…。そして、菊池の新谷への深い想い、須藤が敵わないと言ったほどの愛が、廻りまわって須藤を生かしたのだと思えます。そう考えると、やっぱり、須藤は菊池自身にも会いたかったんだね、と納得できました。全てが繋がって、三角関係はいつしか形を変えて円になるんじゃないかな、と思いました。それは救いであるけれど、胸が苦しいな、と思います。

★4巻のみ番外編あり。それぞれ、178,178,183,195(本編159),164ページ。かなり読み応えがありますが、物語のベースは壮絶な痛みで、愛あるセッ/クスは少なく、モブレやSM、3Pなど無理な方はお気を付けくださいね。

★金髪の犬と足先の丸い猫が、愛に触れ、愛に泣き、縋り、愛を与え、愛を知る物語は、ヒリヒリしっぱなしでしたよ。のばら先生、長い間の連載、大変お疲れさまでした。ありがとうございます。完結おめでとうございます。『on BLUE』のインタビューと番外編も読ませていただきますね。
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