このレビューはネタバレを含みます▼
聴覚の無い、小学生のヒロインを虐めていた同級生グループのリーダーである主人公が、虐めが発覚した事で全ての責任を負わされ、逆に虐めのターゲットとなり、母親と共に責められ続け、親子して自虐的で卑屈な人生を送る。それを救ったのは、高校生になって再会した、心優しいヒロインだった。という話ですが、登場人物が胸糞悪い事この上ない。
虐めをしたら因果応報になると言いたかったのかも知れませんが、主人公に全ての罪を被せて虐めるグループの仲間や、見て見ぬ振りをしていたのに平然と白を切る担任教師など、息を吐く様に嘘を付く人間が得をするとしか思えませんでした。
止めが、主人公の母親の性格です。未成年の子供の罪は親の責任だから、ヒロインの母親に人格が崩壊するまで責め立てられても、賠償金の支払いや、職を失い引っ越しを余儀なくされても、主人公の罪を共に償い、誠実に生きていく素晴らしい母親です。所が、それ程大切な主人公が、再会したヒロインのジサツを止めたせいで意識不明の重体に陥ったのに、ヒロインの母親の土下座一発で「そんな事はしないで下さい」と、逆に気遣う有様。流石に、そこは激昂しないと、人としておかしい。そこで怒らなければ、誠実な母親ではなく、他人と争えないだけの人間になってしまう。そして、相手に求められてもいないのに衆人環視の場で行う土下座は、謝罪ではなく、許せと迫る強迫に等しい。
虐めた相手に言い寄る主人公も気持ち悪ければ、言い寄られて好きになるヒロインも気持ち悪く、全く共感出来ませんでした。