あした虹がでなくても
」のレビュー

あした虹がでなくても

きはら記子

シリーズ3作目・完結編

ネタバレ
2022年1月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ スピンオフのスピンオフということで、シリーズ3部作目。私は前作・前々作未読ですが、こちらだけでも問題なく読めました。表題作のみ全6話+描き下ろしで合計180ページの本作品は、ゲイバー勤務でドラァグクイーンも演じるゲイのホイップ(本名は千歳)×不眠症のノンケリーマン・凌さんのお話です。ランダムに繋がるトークアプリ経由で出会い愚痴を聞いてもらうだけだったリーマンの凌さんが、千歳の務めるゲイバーに現れて…というお話です。他の方もレビューで書かれていたんですが、確かにこの後はこうなるだろうなという読者の読みから微妙に逸らすのがお上手でした。特別奇をてらっているというわけではないんですが、「定番」から少しズレた感じが独特で面白かったです。でもゲイ&ノンケの関係にありがちな「性癖で括ってしまう」という定番ジレンマもあり、湘吾さんの「ゲイについて知りたいのか、千歳個人について知りたいのか?」という問いかけにはハッとさせられました。ただ、千歳にちょっと感情移入しにくかったかな。最初に凌さんがすごい格好だなとクスッと笑ったところで、いきなり怒って水をかけてビックリでした。歩み寄ろうと頑張る凌さんが千歳に、本当の千歳を見たいから女装無しで会いたいと言った時も、なんだか反応が過剰だったような…。当事者からすると凌さんの言動は無神経だったのかもですが、千歳は過去の経験から小さなことに敏感になっているのでしょうが、少し共感しにくかったかなと思ってしまいました。ちなみにエチは本編では男性の姿で1回、描き下ろしで女装の姿で1回でした。
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