運命よりも好きだと言って【コミックシーモア限定特典付き】
」のレビュー

運命よりも好きだと言って【コミックシーモア限定特典付き】

由元千子

運命よりも心のままに。

ネタバレ
2022年1月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大・大・大好きな由元先生の新刊。今回はα×βの幼馴染みで両片想いの恋心にやられましたよ。いいねぇ、焦れ恋、モダ恋にキュイ~んとなります。
地味系βの稀壱にマウントとって俺様圧を出してるαの勇威ですが、駄々漏れなんだよ、好きって気持ち。意地っ張りで素直になれなくて、まるでだだっ子のようですが、なんだか微笑ましくて可愛いのです。執着攻めではあるけれど、子犬の追いかけっこみたいな。勇威さえ素直になりさえすれば…というモダモダぶりがとても良き。
稀壱は自己肯定感が低いせいもあるのかもしれないけど、勇威の気持ちに到底気づかないのが焦れ焦れを増すんです。βである自分の立場を悟って、恋に諦めた片想いが切なくて…せめて好きでいさせてと密かな想いがとても健気なβくん。
はぁ、お互い好きなのに…両片想いのキュンどころですねぇ。
αだとか、βだとか、運命の番だとか関係なく、ただただ好きだという純粋な想いの二人の恋が素敵です。決して番になれない勇威の想いをぶつけるように、稀壱の首を何度も何度も噛み、色濃く残る噛み跡が勇威の切なさの表れのようです。噛み跡をつける事で、稀壱は俺のものというマーキングのようで、独占欲の表れのようにも思えます。とにかく好き好きーって伝わって来る。
仮に、運命の番のΩが勇威の前に現れたとしたら、運命に抗ってまた違った盛り上がりがあったかもしれない。でも王道の流れには行かず、互いの一途な想いを貫いた物語で進んだのも良かったと思います。
勇威が意外にもイチャイチャ甘えん坊で、稀壱のこの上ない幸せそうな嬉し泣きの表情が、すごくすごく印象的でそれがとても嬉しい。ホント良かったねぇ。
発情に左右されない二人のエチは、好きが溢れた愛ある幸せエチでした。もちろん由元先生の描かれるエチは、と~ってもエロチックです。

作品内に登場した稀壱のバイト仲間の逢野くん(Ω)と、稀壱にむき出しの敵意を見せた美堂くん(α)。この二人がめちゃくちゃ気になります。これはスピンオフにして欲しい!と思っていたら、なんと書き下ろしに!へっへっへ。やっぱり分冊だけでなく、単行本買って正解でした。これはもしやスピンオフがあるのでは?と期待したくなりました。由元先生、ぜひともよろしくお願いいたします。

同時収録されている短編は、運命のΩがクズ男なんですが、αの逆襲が面白かったです。
今回も由元作品、最高でした。
いいねしたユーザ15人
レビューをシェアしよう!