独裁者グラナダ【新装版】
」のレビュー

独裁者グラナダ【新装版】

杉本亜未

私にとっての読み時は、“今”でした。感謝

ネタバレ
2022年1月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★中編『独裁者グラナダ』映像作家・鳴瀬と雑誌編集者・中田の物語。短編『Birthday』入院先で出会ったDK小山と同い年の少年・クロの物語。どちらも「存在」がテーマ、でしょうかね。(本日1/21までセールですよ)

★『独裁者〜』中田は鳴瀬作品に感銘を受けた帰り道、高架下で男を罵倒し暴行する鳴瀬を目撃する…。『Birthday』家庭の事情が異なる小山とクロ、最初は衝突した2人だったが…。

★『独裁者〜』の終盤の印象は、まさに独裁者の魅惑そのもの、と思いました。自分の存在証明のためなら他を傷つけてもいいのか?という疑問は残りますね。それくらいの男です、鳴瀬は。ここでそれを問う場合、この作品は受け入れ難いものになるかもしれないな、と思います。子規の随筆は、私の胸を打ちます。その子規に癒やしを感じた鳴瀬の生き様にも、衝撃を受けながら憧憬の念を禁じえない自分がいます。(愛さんと出会った頃の鳴瀬にも衝撃…笑って良かったのかな?)『Birthday』静かに涙がこぼれました。今読めて、本当に良かった。

★作者様ご自身のライナーノート含めて188ページ。ここには、私にとっての救いと癒しのようなものがありました。BLジャンルになっていますが、そこは期待されない方が良いかもしれませんね。時々、ジャンル分けできない素晴らしい作品に出会えますね。

★セールが今日までとお知らせいただき、お優しいな、と思いました。感謝です。
いいねしたユーザ8人
レビューをシェアしよう!