嫌われ神子の8年間
」のレビュー

嫌われ神子の8年間

伊達きよ/北沢きょう

モヤモヤが消えないので

ネタバレ
2022年1月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 圭の15歳からの8年間や元の世界の事を思うと悲しく嫌な気持ちが残りました。

一方的な召喚によって家族も友人も故郷も失い、心を乱しただけで天候が荒れて罪を負い、神子として仕込まれながら孤独に苦しみ5年…あまりに酷い。

召喚した国の人達は彼らの事情を考慮してもどうかと思う所や引っかかる所があり、物語に理不尽や疑問を感じる所も多くてモヤモヤしました。

彼らの価値観と云っても神子を自国ではなく異世界から召喚している訳で、彼らにとって当たり前だから仕方ないと思えない。

召喚の是非ではなく、恩恵を当たり前にして自分達の責務を考えず責任の在り処を履き違えていた事、召喚される側の辛さや理不尽さを知ろうとしなかった事を反省して欲しかったです。

そして召喚と恩恵の対価、神子の責務や元の世界について考えて欲しかった。

彼らの当たり前は都合が良すぎるし、圭にした事の重さに対して色々軽く感じる所が多くて気になりました。

BLだし恋愛が中心なのは分かるけど、それ以外の部分をもっとしっかり読みたかったです。

国民は神子を信じてるとされてるのに悪い噂を信じて一人も冷静に話をしなかったし、5年間何もしなかった。

結局、圭がたった一人で頑張って理想の神子になったから全て上手くいっただけ。

とは言っても終盤からのテスや第二王子の言葉や行動は良かったし、何より圭が自ら神子である事を選んだ事でまだ救われたけれど…。

誤解が解けてなお天候の荒れは圭の罪でもあり、人間なのに心を乱す事も出来ないし、体調崩そうが極寒だろうが川に浸かるのは当たり前。

神子になった経緯や、他にも色々考えると何だか少しメリバのような読後感でした。
いいねしたユーザ16人
レビューをシェアしよう!