銀の鎮魂歌
」のレビュー

銀の鎮魂歌

吉原理恵子/yoco

愛が重すぎた

ネタバレ
2022年1月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ ジオの若き帝王 ルシアン×吟遊詩人 キラ
吉原先生があとがきで書かれているように虐げられたのちに溺愛される今時BLではありません。JUNEだそうです。
先生曰く、「この作品が悲恋なのか、行き過ぎた執着なのか、それとも純愛なのか。それは受け取り方次第......」
ルシアンと4才年下のキラは乳兄弟でキラはルシアンの小姓になります。ルシアンが17才のときに伽を命じられ、それから3年間キラはその愛を一身に受けます。過ぎた寵愛はキラが窮地に陥ったときにキラをいっそう追い詰めることになり...。とても悲しいお話でした。キラを手元に置かず、距離をとったのはルシアンが王としての自覚を持ったのか、その悔恨があまりに深かったのか、これから先 魂の半分の場所を何によって埋めていくのか。ルシアンもキラも心を殺して運命を受け入れたのだなと思いました。そして共にあることを願ったのだと。それが幻であれ来世であれ。流れるような美しい文章で生きること愛することについて説かれたように思いました。悲しいお話は好きではないのですが、とても美しいお話で 思いきって読んでよかったです。1993年に出版された作品の加筆修正された最新の新装版のようです。
2021年8月 総263ページ挿し絵あり
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