世界でいちばん遠い恋
」のレビュー

世界でいちばん遠い恋

麻生ミツ晃

めちゃくちゃ良い!

ネタバレ
2022年1月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 才能がある異端児のバイオリン奏者の十嘉は、人に何かを伝えることに対し全く関心がなく、演奏は『弾きっぱなし』。
周りからのねたみもあり音大では浮いた存在です。
ひょんなことから、聴力に障害をもつ五十鈴と知り合います。
相手の一言一言を聞き漏らさないように、丁寧にコミュニケーションをとる五十鈴。
彼と関わるうちに、相手に自分の思いをきちんと伝えたい・そして相手のこともちゃんと理解したいという気持ちに変わっていきます。
五十鈴と交流をしていく過程で、今までわからなかったバイオリンへの本当の想いにも気づきます。
この両方を通して、十嘉の演奏と音楽を学ぶ姿勢に変化が現れてくるくだりは鳥肌ものです。
19歳の十嘉は、脇目をふらず五十鈴に突き進んできます。
そんな十嘉に対し戸惑い、一旦距離をとってしまった五十鈴ですが、自分が作っている壁をどんどん突き破り、五十嵐のことをまっすぐに見つめ理解し、心底五十鈴の助けになろうとしてくる十嘉に徐々に惹かれていくところで終わります。

今後2人の関係が進むにつれて、十嘉の演奏がどのように花開いていくのか。
五十鈴が今まで内に閉じ込めていた、不安感や寂しさを十嘉に表出できるようになるのか。
BLのトキメキもありなんですけど、
優しくて美しい小説を読んでいるようです。
読後、十嘉が『かわいい』と言った五十鈴の表情や、色んな音・人の意見が耳に届いてしんどそうにしている十嘉の耳を、五十鈴が優しく塞いであげる場面などが浮かんできて。だいぶ重症だぞ、私…と思っている今日この頃です汗。早く続きが読みたいです。
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