【電子限定】翼なき彼ら
」のレビュー

【電子限定】翼なき彼ら

西田ヒガシ

優しく希望の見えるラスト

ネタバレ
2022年1月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昔助けた鳥が、くたびれた中年になって人生行き詰まった時に願いを叶えに来るお話。
西田先生の新刊は不思議要素あり、全てを詳らかにしていないので意図を正しく汲み取れているかはわかりませんが、自分なりに解釈して感じたことを書いてみます。

願い事を聞かれた時に、睦も木田もどちらも初めに子どものことを願う。自分のことは二の次。自分自身のことにはそこまで執着はなく、今まで後悔も間違いもありながらも自分なりに選んで人生を生きてきたから、今さら貪欲に幸福を掴む気はないように思われる。
それでも2番目は?次に大切なものは?と尋ねてくれる鳥の神様(?)はとても優しいと思いました。今一番大事なものと心の奥底の願いと。初めからそれを問いかけ続け、どちらも救い上げてくれる鳥の神様は心が広い。
まだ四十半ばだもんね。自分の命も救われ、きっと願いも聞き届けられたんだから第二の人生として心新たに生きてほしいと思う。
大人になったつもりでも、結局人間の本質ってそう変わらないしね。

途中アンハッピーで終わるのかと思ってドキドキしたので、最後のどこか吹っ切れたようなすっきりとした顔に希望が見えるようでほっとしました。
読み終わった直後はあ、ここで終わりかと思ったのですが、物足りない感はなく、不思議と清々しい気持ちが残りました。
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